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インテリジェンス機能の強化に関する有識者会議で発言する高市早苗首相(手前から2人目)=2026年9月28日、首相官邸

この社説のポイント

●政府が外国のために活動する「外国代理人」登録制度の早急な整備を提案した
●制度設計次第では、正当な国際交流や言論活動を萎縮させる恐れがある
●政府の情報活動を民主的に統制するために、第三者機関の創設などが不可欠だ

 外国による不当な干渉を防ぐためというが、対象があいまいなまま、罰則つきの規制を導入すれば、正当な国際交流や言論活動を萎縮させかねない。立法の必要性や恣意(しい)的な運用への厳格な歯止めが明確にならないうちに、法制化を急ぐことは許されない。

 政府がインテリジェンス(情報の収集・分析)機能の強化に関する有識者会議に、外国のために活動するコンサルタントや広告会社といった「外国代理人」の登録を義務付ける制度の早急な整備を提案した。活動報告などを通じて動向を透明化し、無登録での活動に加え、登録していても脅迫などの悪質な行為に対しては罰則を科すという。

 高市政権が旗を振るスパイ防止法制の柱のひとつだ。他国の世論や政策決定過程への影響を狙った工作活動が、日本に対しても近年、活発化しているのに、米国やオーストラリア、英国などのように、規制のための法律がないことを理由に挙げている。

 有識者会議には、国会議員や地方議員への働きかけ、自国に有利なプロパガンダの拡散など、日本国内での影響工作の事例が報告された。既存の制度では本当に対処できないのか。精査が前提だ。

 最大の課題は、外国勢力による不当な干渉と、正当な活動をどう区別するかだ。

 政府は、外国との関係を秘して行われる公務員への接触、情報発信、財産上の利益の供与が不当な干渉に当たるとするが、定義次第で拡大解釈の懸念がある。

 外国代理人は外国人に限らない。経済や学術・研究を含む民間交流、報道機関やNGO(非政府組織)の活動などで、外国の政府や政党、団体などと接触している日本人は少なくない。どのような場合に外国代理人に該当するのか、線引きが不明確では、安心して活動もできない。

 政府は有識者会議での議論を踏まえて、来年の通常国会に関連法案を提出したい考えだ。対象の範囲や報告義務を課す内容によって、市民への監視や報道・表現の自由の制約につながりかねない。詳細な制度設計に向けた議論を行う有識者の責任は重い。

 高市政権が後回しにしている、政府の情報活動を民主的に統制する仕組みづくりも不可欠だ。政府から独立した第三者機関や国会によるチェック、記録の保存や事後検証、異議申し立てと救済の手続きを整えねばならない。

 外国の干渉から、自由で開かれた民主主義社会を守ろうという制度が、市民の活動を制約し、国際交流を封じる道具になっては本末転倒だ。

  • 「スパイ防止法」政府が初の具体像 「外国代理人」登録と罰則を提示

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